2021年7月17日に行われた「最期まで自分らしく生きる介護の実践」看多機 “むく”×駒場苑コラボ質問会の内容をダイジェスト版で紹介します!

【登壇者】 佐伯美智子(看多機"むく"代表) 坂野悠己(特別養護老人ホーム駒場苑施設長)

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前回記事:3. 駒場苑の紹介

4. むく代表・佐伯さんの介護への思い

佐伯(看多機むく) すごい共感する。

編集部 佐伯さんも(坂野さんの考えに)共感されるというお話ですが、もし同じように「介護に対してこういう思いでやってきた」みたいなことがあったら、教えていただきたいです。

佐伯(看多機むく) 私もね、最初に働いたところが昔で言う老人病院だったんですよ。 巷では姥捨て山みたいな呼ばれ方をしてて、そこに入ってしまったら死ぬまでそこから出ることはないぞみたいな。 社会的入院って昔あったじゃないですか。長く入院してるようなお年寄りが多くて、そこに入院してしまうと、朝病院の服を着たらずっとそれを着てるのが当たり前で、自分の服を着るのはリハビリの時だけ、みたいな。

申し遅れましたけど、私、もともと作業療法士っていうリハビリの専門家で、病院で作業療法士として働いてたんですね。 で、患者さんは、普段は病衣っていうのを着てて、リハの時だけは立たなきゃいけない、歩かなきゃいけないからって、ズボンを履いて来るんだけど途中で患者さんが「トイレ行きたいんだけど」みたいなことを言ったとするじゃない。そしたら、リハビリの助手さんとかスタッフが、「ここでしていいよ」ってこっそり耳打ちするんですよ。ここでしてもいいよって言われてもねって思うでしょ。 それを最初見た時に、どういうことって思って、意味が分からなくなって「何のリハビリなんだろう、これ」「トイレ連れてっちゃだめなんですかね」みたいな。

そういう疑問から最初スタートしてて、リハビリのズボン履いて来るけど、部屋に帰ったらそれ脱がされて、また寝かされて、きれいにベッド整えられて、はい、おやすみなさい、さようなら、みたいな、そういう関係性だったんですね。 リハビリも、1日20分だけとか、長くても40分の関わり。 その中で見るその人の姿は、日常じゃなくて非日常なの。 もうあくまでも、その人の生活でも何でもなくって、リハビリ室に行くから着替えて、リハビリ室に行くから顔洗って、リハビリ室に行くからおむつをとりあえずリハパンに替える、みたいな人もいたりするんだけど、替えて、ズボン履いて、非日常の世界を20分経験して、また戻って行くのは寝たきりの世界、みたいな。 なんかそれが私はすごく疑問だったし、嫌だったし、その人の人生の終末、最期の時がこれでいいのかなってすごく思ったのが、最初こっちのほうの世界に来るきっかけになったかな、と思ってます。 だからほんと7ゼロは共感するところたくさんあるし、もちろん今坂野さんが言われた、全員が全員そこに当てはまる人ばかりではないっていうのも、私も考慮する。 1つの考え方として、特養とか病院とか、高齢者のいっぱいいるところで、少しでもそういうのがあるとといいな、って思ってます。

坂野(駒場苑) そうですよね、何のためのリハビリだってなっちゃいますよね。リハビリだけして、終わったらトイレには連れて行かなくて、寝たきりになっちゃうっていうね。 むしろそこを良くしていくためのリハビリじゃないのって話ですもんね。

佐伯(看多機むく) 立つ練習をするスタンディングテーブルっていうのがあって、そこで立つ練習をしてるんだけど、そこで立った時に腹圧かかっちゃうから出ちゃうみたいな人とかいて。 でも立つの15分だから、15分間立っててねみたいな感じで部屋閉めめられたりして、もう意味分かんないってとにかく思って。 何のためか分かんないですよね。 病棟では歩かしてくれるなとか言われてるし。 もう今はだいぶ改善されてるかもしれないんですけど、20年前はほんとすごかったです。

坂野(駒場苑) そうですね。昔に比べたら全然良くはなってると思いますけどね。 ただやっぱり、安易にそういったことが使われちゃうっていうのはまだまだあるなって思うんでね。なので、チェックの意味で、7ゼロは使ってくれたらいいな、と思ってるんですよね。

編集部 お二人とも、昔勤めた環境の良くない施設に対しての怒りというか、そういったことが原動力となっていらっしゃるんですね。

坂野(駒場苑) そうですね、それが大きいですね。

佐伯(看多機むく) 今考えると、環境が良くないっていうか、当時はそうするしか仕方がないみたいなことがあったんだろうなって思う。

次回記事:5. 看多機"むく"の看取りケア