皆さんの現場では、サービスを利用する要介護の方々をなんと呼んでいるでしょうか。

「利用者さん」「利用者様」「ご利用者様」「お客様」「ご本人様」「クライアント」「ゲスト」「メンバー」「ばあちゃんたち」「入居者」「ご入居者様」「入所者」「入所者さん」などなど

呼称は法人によって様々ですし、入所施設・在宅などの事業形態によっても、従事者個人によっても様々ですね。 (この記事では「利用者さん」を採用することにいたします。)

ちなみに介護保険関連の法律等では「利用者」となっています。介護保険制度のサービス利用者だからですね。

全額自己負担なのであればお客様でも良いかもしれませんが、社会保険によって1〜3割は保険料ならびに税金から利用料を払っているので、“保険利用者”という位置付けですね。生活保護の方は全額に補助になり、こちらの業界では「受給者」と呼ばれたりします。

他にも例えば、医療関係の法ではしばしば「患者」と記載されていますが、実際には「患者さん」「患者様」「お客様」など実際の呼ばれ方は様々ですね。

もちろん、法律で位置付けられているからと言って、どの介護事業者も従事者も「利用者」と呼ばなければならないわけではありませんね。その法人のコンセプト、姿勢によって様々ですし、もちろん従事者一人一人のスタンスにもよるかもしれません。 私自身も、数回の転職で「お客様」と呼ぶ法人もありましたし「利用者さん」と呼ぶ法人もありました。

さて、逆にいうと、こうした大多数の一般通念が定まっていない中で、様々な呼称があるということは、呼称に対する思い入れや価値観の衝突を生むことになります。また、転職者が半数以上の介護業界では、前職の法人や転職前の業界の感覚を持っている方が多いものです。そうすると余計に価値観の衝突が生じやすい前提があると言えるでしょう。

法人の考えに賛同して、「お客様」と呼ぶことにご自身も賛同している場合は良いですが、「利用者」と呼ぶべきだと心の中では考えている人、その逆の人にとってはなんとも難しい問題かもしれません。

あなたの所属する法人は利用者さんをなんと呼称するでしょうか。またあなたの先輩や上司が使う呼称にあなたは納得をしているでしょうか。違和感を抱いていないでしょうか。あなた自身はなんと呼ぶことがしっくりくるでしょうか。職場内で違和感があるとき、相手と自分の差異の理由や根拠を言葉にできるでしょうか。

さて、利用者さんというサービスを利用する要介護者全体を総称しての話でこれだけ色々とあるのに、さらに複雑なのは、一人一人の利用者さん個人の呼び方については更に悩ましいのではないでしょうか。

次回は、利用者さんの一人一人の呼び方について考えてみましょう。

(その2の公開まで、もう少々お待ちください)