5月6日(木)に実施した、「“三好春樹と排泄ケアを考える”アウケアツアー」の様子を複数回に分けてレポートします!

実際の雰囲気を感じてみたい方、もっと詳細な話を知りたい方は、ぜひこちらの動画をご覧ください!

アウケアツアーとオンラインセミナーの複合企画である、「“排泄を考える”アウケアツアー」。

午前中は、オムツに頼らない排泄ケアを実践する、特別養護老人ホームはちす苑(千葉県佐倉市)の施設見学を行いました。

午後には、「三好春樹さんと少人数で語る排泄ケア」を行いました。 前回に引き続き、三好さんからの排泄ケアについてのお話をお届けします! 前回の最後に登場した、「排便最優先の原則」とは…? 「自立支援」についてのお話も出てきますよ!✨


〜動画11:42〜

 私は、介護で一番大事なことを、「排便最優先の原則」と呼んでいます。「人間の尊厳を守る」とか大袈裟なことがよく言われますが、そのためにはまずこれをやるべきだ、と考えています。

 もしごちそうを出したって、便秘だったら美味しくないですよね。排泄ケアというのは、生活の後始末じゃなくて、心身が共に安定した生活の、基本づくりなんです。これさえちゃんとやって、老人の便秘をなくしておけば、認知症の方も落ち着くし、リハビリのやる気もでるし、笑顔も出ます。    生理学的に、私たちは毎日排泄しています。その中で便秘になっていないのは何故でしょうか?  認知症老人の介護のための最大のポイントは、便秘にしないことです。そのためにどうしたら良いのでしょうか?   下剤や浣腸なんてものは、病人に対するやり方です。私たちがやっていることを根拠にしたら良いんですよ。「我々はなぜ?」というのを生理学的に見つけ、それを障害を持った大人に当てはめてよう、という方法論です。

 私たちが自然排便している根拠は三つあります。一つ目は、直腸の収縮力。これは自律神経で動くので、自分で動かそうと思って動かせる人はいません。二つ目は、腹圧です。1と2は、両方とも筋力ですね。歳をとるとどうしても筋力が低下してしまうので、仕方ない、みたいなことも言われたりします。

 しかし、三つ目の根拠は、いくら歳をとっても低下しないものです。医学部の学生に聞くより介護職に聞いた方が正答率いいんですよ。介護現場を思い浮かべるからですね。答えは、重力です。

 これらから、自然な排便のために大切なことが、二つ分かります。一つ目は、姿勢ですね。上を向いて寝るから便秘になるんです。腹圧って、座ると寝てる時の2〜3倍になるんです。前屈みの姿勢も大事ですね。

二つ目は、時(タイミング)です。いつ座ってもらうのか?ということで、やはり食後ですよね。特に朝食後です。それでも、そのタイミングに限らず、便意を感じている時。これは直腸が収縮している時ですから、これを逃さないことが大切です。例え会議してても、食事介助してても、これが最優先です。「ちょっと待ってね」は大体「ちょっと」じゃないので(笑)、言わないべきです。 これが「排便最優先の原則」です。

 まずは、朝ご飯の後にトイレに座ってもらう。そうすると、お昼のオムツ交換の時に、排便している人がゼロ、という状況が生まれます。結果的には、こっちの方が楽なんですよ。   それから、「自立支援」とはあまり言わない方が良いですね。自立とは、自分の若さと健康に依存して立つ、ということです。この依存ができなくなった時に、他人に依存する、というので、依存の形が変わるだけなんですね。介護とは、「一人ひとりにあった依存の形を作る」ことです。そのための工夫が必要なんです。

 オムツゼロを目指すのも良いですが、オムツを依存の方法の一つとして使うことも、もちろんあります。一人ひとりに合った排泄ケアが大事なのであって、オムツや薬を使うことも、状況に応じて必要です。

 例えば、病院から施設にやってきたケースで、便意も尿意も訴えず、漏れているのかもわからない、という人もいます。でも普通はこんなことありえないですよね。どうしてこういう風になってしまうかというと、必要でない感覚は忘れちゃうからなんです。病院の中で、オムツを当てられて、尿意や「濡れてます」と訴えたら怒られる、という状況は、普通じゃないですよね。そうした気持ちを訴えれば、オムツを変えてもらえて、気持ち良くなる、という状況になれば、その感覚を取り戻すはずです。

 これがオムツ外しの取り組みです。環境によっていかに人間が変わるか、ということですね。「環境」という言葉だとちょっと人事みたいになるので、私は「関係」と呼んでいます。どういう風に自分が老人と関わるか?ということですね。貧困な二者択一に陥るのではなく、いろいろ考えながらやっていこうよ、という話です。

〜動画24:50まで〜