介護情報誌「Bricolage」(七七舎)2018年新年号に掲載された「介護現場から—駒場苑の入浴改革(坂野悠己)」全文を3本の連載記事でご紹介します!

坂野悠己(さかの・ゆうき) 東京都・総合ケアセンター駒場苑 施設長補佐(現施設長) 学生時代にアルバイトで偶然入った特養ホームで経験した劣悪な介護への憤りを源に施設改革に取り組む若きリーダー。 大胆な発想と実践で介護現場から圧倒的な支持を集めている。


前回:介護現場から—駒場苑の入浴改革②

2017年のお風呂

まず、リフト浴を撤廃し、特浴2基は残して普通の家庭サイズの浴槽を3基入れました。 なぜ3基かというと、駒場苑は1フロア18~19人で3フロアあるからです。 1フロア1つの浴槽という考え方です。 18人に1つの浴槽という比率はとてもいいです。 せっかくヒノキの浴槽にしたのだから、一人ひとりのお年寄りが満足する時間入ってもらいたいと思いました。 1日6人入浴できれば3日で全員入れます。 それを2回繰り返せば1週間に2回入る計算になります。 さらに、午前(9時半~11時)に2人、午後(2時~5時)に4人と割り振りました。 そうすると、1人あたり45分は好きに入ることができるのです。 1人45分となると、マンツーマンで対応することが可能になります。 分業にする理由がないのです。 1人の職員が声をかけて、脱衣場にお連れして、お風呂に入ってもらって、フロアに戻って、次の人に声をかける。45分あればそれが十分できるのです。 長湯の人が続くと、45分では済まないだろうと言われるのですが、長湯の人もいれば行水の人もいるわけで、そこを分ければいいんです。 これも毎日お風呂があるメリットだと思います。

2017年の駒場苑のお風呂—お風呂らしい時間が流れる場になった

駒場苑の結論

個浴を導入して2年、座位が保てない人は特浴で、ほとんどの人が個浴になりました。 すると、職員から「重度の人こそヒノキのお風呂にゆっくり入ってもらいたい」という意見が出ました。 そこで、寝たままで身体を洗う人も入れる浴槽をつくってもらうことにしました。 3人浴槽に身体を洗う台をピタッとくっつけます。 台はお年寄りが横を向いたときに怖くないように幅を広くしてもらって、浴槽に入るときは持ち上げるのではなく、横にずらして入る感じです。 浴槽と同じ高さなので、職員は膝をついて介助します。 家庭用のお風呂がベースとしてあって、座位が難しい人は大きめの浴槽に身体を洗える台をつければ機械浴はいらないというのが、駒場苑の結論です。

リフトのほうが楽だと思っていませんか。 何もしなくていいから。 だけど、リフト浴で何十人も入れるより、午前中2人個浴に入ってもらうほうが断然楽です♪と、駒場苑の職員は言います。 楽はラクだけじゃなくて、タノシイも入っているような気がします。 だから、個浴にしたあとに反対はまったくなかったですね。 分業の時代は、お年寄りに皮膚剥離が見つかると、入浴介助のどの過程でなったのか犯人探しが始まっていました。 マンツーマンでの入浴介助の責任は全部自分ですから、トランスなども丁寧になるんですね(笑)。 2人介助が必要な人もいますから、フリーの職員もいるのですが、責任感が全然ちがいます。 分業だとちょっと雑でもまぎれちゃいますから。 個浴─マンツーマン介助は、丁寧な介助をせざるをえない仕組みになっているんです。

座位が保てない人もこのお風呂ならOK!

(2017年10月生活リハビリまつりでの講演に加筆・修正)

◆総合ケアセンター 駒場苑 東京都目黒区大橋2-19-1(〒153-8516) TEL 03-3485-9823/FAX 03-3485-9825 特養ホーム55床/ショートステイ2床/通所介護30名/グループホーム9名/居宅介護支援事業所/訪問介護 7つのゼロ【寝かせきりゼロ・オムツゼロ・機械浴ゼロ・下剤・精神安定剤ゼロ・脱水ゼロ・誤嚥性肺炎ゼロ・身体拘束ゼロ】を実践中。一緒にやっていく仲間募集中


七七舎主催 新・髙口光子の元気が出る介護塾 お申し込み受付中です!

お申し込みは七七舎ホームページから!

※ Bricolageの定期購読はこちらから