5月6日(木)に実施した、「“三好春樹と排泄ケアを考える”アウケアツアー」の様子を複数回に分けてレポートします!

実際の雰囲気を感じてみたい方、もっと詳細な話を知りたい方は、ぜひこちらの動画をご覧ください!

アウケアツアーとオンラインセミナーの複合企画である、「“排泄を考える”アウケアツアー」。

午前中は、オムツに頼らない排泄ケアを実践する、特別養護老人ホームはちす苑(千葉県佐倉市)の施設見学を行いました。

午後には、「三好春樹さんと少人数で語る排泄ケア」を行いました。 三好さんから排泄ケアについてのお話を伺った後は、質疑応答セッションを行いました。 今回は、前回に引き続き、その様子についてお届けします!
〜動画31:54から〜

参加者  :私のところは老人病院なのですが、一回入ったらもうオムツで、それが良いという価値観があります。そういった状況の中で排泄ケアを進めていこうとするには、どうしたら良いのでしょうか?

三好さん :下から変えるというのは難しいですよね。上から変えようとしても、反発を受けて挫折、というのもよくあるので、下からはもっと難しいですね。

 ただ、施設全体のケアは変えられなくても、一人でもできることはあります。駒場苑の坂野さんは、学生アルバイトをしていた時、先輩にいうと怒られるからと、「内緒よ?」と言ってトイレに連れていっていたらしいですよ。

 別に一人でも良いですし、同じように内緒でやる仲間が3人いれば、もうかなりのことができるようになります。問題老人と言われている人に、この3人で、朝「おはよう」と言って、帰るときに、「また明日」と言うだけで、全然違います。気にかけている人がいてくれる、というのが大きいんですね。

 排泄ケアも、確かに時間の関係で、その時にトイレに連れて行ってあげるのが難しいことはあるかもしれません。しかし、「この時間にオムツを変える決まりだから、言ったってだめ」とお年寄りに言うのと、「本当は変えてあげたいんだけど…」と一言伝えるのとでは、全然違いますよね。人間に対する信頼感とか、自己肯定感とか、そういうものが、こういう工夫によって守られるんです。お年寄りにとって、介護職一人との関係が世界との関係になっていくことはありますから、自分一人からまず始めて、広げていけば良いと思います。

参加者  :オムツゼロに取り組みたいのですが、人が足りないじゃないか、と言われてしまいます。夜中に尿意の訴えに対応しても、人がとられるじゃないか、と怒られちゃったりとか。どうしていけば良いのでしょうか?

三好さん :お年寄り本人にとってどうなんだろう?ということを真剣に考えた方が良いですね。先ほども言いましたが、介護現場は「水」なので、楽な方に流れちゃうのに、どこかで歯止めをかけなきゃいけない。本人にとって楽で、かつ屈辱感を与えないような形を考えていく必要があります。うちはこういう方針、というのを押し通すのは、良い介護とは言えないですね。それぞれにあった介護がありますから。

 個別のお年寄りと、その時の介護者の間で、介護は成り立ちます。だから、職員の仕事の割り当てをこうする、って決めることはできないんです。みんな「例外がある」ということを頭に入れて、臨機応変にやらなきゃいけない。良い介護職がやることは毎回例外ですから、割り当てを外れたことで文句を言われる筋合いはないですね。

 一般社会では効率主義が原則とされていますが、効率的にやるほど老人は困惑します。ものを作る時と介護は違いますから。人間相手だから、「効率主義」は効率よくないんですよ。

司会者  :ここまでありがとうございました! 最後に、一言よろしくお願いいたします。

三好さん :排泄ケアは、そのやり方によって、あっという間にその人間を屈辱感でだめにもするものです。脳の問題というよりは、自分自身との関係の問題で、要介護になって自分との付き合い方がわからなくなった時に、一番追い込まれる部分です。だから、そこをどうやってやっていくかということが、彼らにとって大切なことなんですね。自己満足じゃないかと良く言われますが、自己嫌悪よりは良いでしょう。一人でも、どんな体制でも、できることはありますから、ぜひそれをやっていっていただければと思います。

〜動画56:55まで〜