その1はこちら



本を読み、同じように苦悩する古今東西の人たちの想いを知った。同じように苦悩する人の気持ちを聞いた。同じように弱かった人たちに相談に乗ってもらった。愚痴をこぼした。



初めて弱い自分をデジタルではない生身の他人にさらけ出した。



そう、自分は強固で頑丈で立派な自分の城を築きあげ、そこに立てこもりながら自分の正義を声高に叫んでいたにすぎない。しかし、その城はもろくも崩れ去った。崩壊する城の中で自分の弱さを嘆いた。


今、何もない更地に私は立っている。何も持たず守る術もない、弱いたった一人の自分だ。しかし、そんな自分で良いのだと思った。


自分の弱さと向き合い、受け入れて、認めること。こんなにも大変な作業だと思わなかった。しかし、認めると気持ちが楽になった。世界が違って見えた。本当に世界が違って見えた。どこかで聞いたセリフだが、こんなことが本当にあるのか、と驚いた。



見回してみると、私と同じように城を一生懸命築こうとしている人もいれば、更地に立ちながら多くの人と一緒にいる人も見える。自分は今1人になったと思ったが、城の城壁が無くなったので、案外大切な人たちや応援してくれる人はすぐ近くにいることを知った。




利用者や意見が合わない同僚、看護師、上司・・・


相手の立場に立てない、相手の気持ちがわからない、その人の弱さを認められない、ありのままを受け入れられない。



当たり前かもしれない。みんな怖いんだ。自分の弱さをさらけ出すことが。


だから、城を築いてそれでやっと向き合おうとすることができる。でも、頑丈な城が迫ってきたら、相手もせっせと城を築くものだろう。



「まずは自分から相手に向き合う」


私は過去の記事で書いたかもしれないが、上辺の綺麗事だったのだと思う。これはそんなに簡単なことじゃない。苦しく辛い作業。自分の弱さと向き合い、受け入れ、認め、さらに人に差し出すことはとても難しい、怖いことだ。時には、その過程で奈落の底に落ちることもある。


しかし、確かに、このことはそれだけの価値がある。




私が最近読んだ数冊の本にヒントとなる文があったので、私なりの解釈と言葉で書いてみる。


『社会、文明、自由を手に入れようとする中で、人は共同体を無くし、個はバラバラになった。そして現在、歴史上で最も人は孤独を感じている』


そして、相手の心を知りたい、自分が何者かを知りたい。そんな衝動に駆られている。



『人の弱さを受け入れる』ためには『自分の弱さを受け入れる』



介護という仕事、向き合う利用者は現代人が一番求めている「孤独から抜け出すこと」の一つの答えを教えてくれる。


利用者も自分も、みな弱い。だからつながりを求めている。そしてつながった時に強くなれる。


みんな同じである。そう、みんな“普通” なのだ。しかし、その“普通”を認めることがとても大変なのだ。



私は今回の経験を踏まえて、あえてこの“普通”になることを“介護の専門性”の大切な要素の一つだと訴えたい。


専門知識技術が必要不可欠であることは変わりない。しかし、それを使いこなす介護職の“普通”こそが介護を仕事として担う人にとって大切な力であり、現代においてはこのことすら専門性と呼ぶに値する程“稀”な素質である。しかし、“稀”であると同時に“誰もが持ちえる資質”でもあるのだ。



これを踏まえて今後も介護の専門性を新提案していきます!どうぞよろしくお願いいたします!


※本稿は、金山峰之さんからの寄稿記事です。2016年10月21日に、ご自身のブログ「介護の専門性新提案」において、掲載した内容を一部編集の上、掲載しています。

※ 金山峰之さんのプロフィール
介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員。法政大学大学院政策創造研究科修士課程修了。
在宅介護を中心に15年以上現場に従事。現在フリーの介護福祉士として、高齢、障害者介護現場の傍ら、介護人材の育成、講演、研究、コンサルティング等に従事