さまざまな現場でご活躍される多種多様な介護職の方に、ただひたすらインタビューしていく「カイゴ録」。

今回は、鞆さんとの対談の後編です! 介護に関する情報を積極的にSNSやホームページなどで発信している鞆さんですが、その真意に迫りました。 それではどうぞ~♪

鞆さんのプロフィール

鞆さん

鞆さん

関西の特別養護老人ホームでフロアリーダーを務める。カイゴ録 vol.1に登場する彩さんの上司でもある

自己紹介

けあ子

けあ子

最近よく鞆さんの発信を見かけますが、どうして発信をそんなに頑張っているのですか?✨

鞆さん

鞆さん

そうですね。最初はFacebookを始めたのですが、ほとんどは個人的な投稿とか、遊びのことばかりでした。でも仕事である介護の話題を投稿したとき、反響がものすごくありまして。

けあ子

けあ子
どのような反応が多かったんですか?

鞆さん

鞆さん
「いつも見ています!」とか「すごくいいこと書いていますね」とか、好意的なコメントをたくさんもらいました。それで、「あっ、介護の話題って共感を得られるんだ」と感じましたね。

けあ子

けあ子
それはうれしい反応ですね✨

鞆さん

鞆さん
シンプルに介護を楽しんでやっているその様子を発信しています。介護のイメージが悪い中で、少しでも楽しさを知ってもらえたらと思っています。基本的にはFacebookで、結構長文で書いていますね。会社にも発信する意義と広報の力を知ってほしいので、その影響力を持つため、という視点もあります。自分で試しておいたら、上を説得する材料にもなりますしね。

けあ子

けあ子
確かに鞆さんの投稿を見ていると、介護の面白さを自然と感じている様子が伝わってきます✨

鞆さん

鞆さん
そうですね~。介護が面白いっていう根っこは変わらないじゃないですか。働いている施設によっての違いはあるけれども、突き詰めると介護は面白いです。専門性がない、なんていわれることもありますが、「専門性がない専門家」だと思ってますよ。幸福の価値観はいろいろな中で、それを全部ひっくるめて、その人らしい生活を送れるようにする職業です。最強の専門職だと思っています。

けあ子

けあ子
介護の仕事は、一般的な専門家とはどういうところが違うな、と感じますか?

鞆さん

鞆さん
通常、専門家は「いかに、その人を右肩上がりで良くしていくのか?」ということを目指します。でも介護は違います。自立支援といいつつ、最終的には自立しないし、できなくなる。老いて死んでいく、右肩下がりです。そんな矛盾をはらんだ専門職なんですよ。自立しなくても支えていくのが介護という仕事です。

けあ子

けあ子
なるほど~😊✨ そこが魅力のひとつでもあるんですね!

鞆さんとけあ子

けあ子

けあ子
介護業界で過去の鞆さんのように壁に直面している人に向けては、どんなことを伝えたいですか?👀

鞆さん

鞆さん
何かつかむまで、そこにいた方が良いと思います。大前提として、何かメンタルとかで病む感じでなければ、ですが。自分の中で、確信めいたものを、1エピソードだけでも得るべきです。そして施設の中に共感者を探るのが良いと思います。どこの施設にも1~2人は変人がいますから(笑)。簡単な人からでも、変えた方がよいですね。いきなり難しい人、暴れている人をどうするか、は難しいので。もうちょっと簡単そうな人からいくのが良いです。

けあ子

けあ子
なるほど✨

鞆さん

鞆さん
お風呂のおばあちゃんも、割と簡単な人でした。お風呂の時だけ大変でしたけど。自分の糧となるものをつかめれば良いんです。自分たちの仕事は、自立支援だと考えています。ちょっとでもそこを、感じてもらえたら、と。現状は、ただのお世話になり下がっていることも多いです。本質は自立支援です。うまくいかなかったとしても、楽しめれば良いですよね。実際僕も、失敗の数の方が多いです。それでも何か得るものがあります。「何かをやり、うまくいかなかった」という結果が返ってきたというだけで。行動せずもんもんとするのではなく、まずは行動が大事です。うまくいかなくても楽しめればいいんですよ。失敗談を多く持っている人が最後には笑います(笑)。得るものが多いですから。

けあ子

けあ子
確かにそうですよね。良くわかりました😄 いまも触れて頂きましたが、鞆さんにとって「良い介護」「望ましい介護」とはなんでしょうか?

鞆さん

鞆さん
「その人らしい生活を最期まで支援する」ですね。QOLの向上は総合目標として言われるますが、大事なのは「その人らしい生活」です。自分たちが当たり前にやっている食事排泄入浴、それを当たり前にする。その人が大切にしている生活を大切にする。それを守り抜いていくことです。これはとてもマニュアルにしにくいです。「具体的に何をやればよいのか?」と聞かれますが、それは「その人による / その人に聞いて」となってしまいます(笑)ただ実際、方法論はだいぶしっかりしています。三好さん、高口さんが20~30年前からずっと言っています。でも全く浸透していない。いまだにできていない施設が多いです。方法論はあるし、しかも意外に簡単です。やったらうまくいきます。

けあ子

けあ子
なぜ浸透しないんでしょうか?💦

鞆さん

鞆さん
「よそはよそ、うちはうち!」みたいに考えているんだと思います。「ほかの施設でうまくいっただけで、うちではできっこないよ」と思っている感じではないかと。成功例を発信するのは主に経営側なんですよね。現場にどっぷり浸かっている人からの生の声とか現場の事例とか、そのリアルを発信することが大事なんです! だから僕がSNSに投稿するときはエピソードを盛り込むようにしています。そのエピソードの背景や結果を広く伝えることで、身近に感じてもらえると思うんです。そして“これくらいなら自分でもできそう”と思ってもらいたいですね。

けあ子

けあ子
彩さんも同じようなことをおっしゃっていました。

鞆さん

鞆さん
そうですね!小さいコミュニティがたくさんできるのが大事ですね。最初は仲間内でもいいと思います。今日失敗したこととかそういう小ネタを共有するのが大事だと思います。

けあ子

けあ子
ありがとうございます。大変共感しました。最後に、読んでいる方にひとこといただけますか?

鞆さん

鞆さん
僕の施設の新人研修では「寝たきりにさせないという方針」について話します。寝たきりがなぜダメか。宇宙ができてこれまで約150億年の歴史のなかで、日中、おなかを上にして生活している生物はいないんです。寝たきりにさせているのは“生命の設計図”に反している。寝かせきりということはそういうことなんです。そして、それを解消できるのが介護職なんです。それを施設でもよく伝えていますね(笑)

寝かせきりとは

けあ子

けあ子
最後は壮大な話で終わりました(笑)。とても面白かったです。ありがとうございました!

3回にわたった鞆さんのカイゴ録も、今回でおわりです。 この企画は、インタビュー終了後にその方が尊敬する方をご紹介いただき、次回にインタビューさせていただくという流れになっています。

次回はどんな素敵な方にお会いすることができるのでしょうか? ぜひ楽しみにしていてくださいね♪

次回予告