今日は飛鳥晴山苑の2時間体験に、同席させて頂きました〜!その模様を、これよりご報告します。(この記事は2019年12月の内容を編集して掲載しております)

まず今日のご案内は、過去にインタビュー「飛鳥晴山苑の自立支援とは?」をさせて頂いた柿崎さん(フロアリーダー)にして頂きました。

全般的に大変丁寧に対応いただき、わかりやすかったです。

目次

  1. 飛鳥晴山苑の全体概要
  2. 飛鳥晴山苑の入浴介助
  3. 職員の自発性について
  4. 柿崎さんとの面談
  5. 体験内容
  6. 佐長施設長との面談
  7. 編集後記

■飛鳥晴山苑の全体概要

 まずは事務局の方から全体概要を教えて頂きました。障がい者施設も併設しており、その方が働くカフェでの紹介です。公園が併設しており、大変眺望が良いのですが、写真を撮り忘れました。

そこで利用者向けと新卒採用向けのパンフレットを元に、5分ほど教えて頂きました。内容は写真ですが、こんな感じです。

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その後はまずはフロアごとの見学です。歩きながらまずは併設のデイサービスを見ました。その過程で、以下の点を教えて頂きました。

152床のユニット型で、ショートステイを含めると172床ある大規模特養(「都内でも大きめ」だそうです)ですが、フロアごとに飾り付けが違いました。

飾り付けの高さも利用者の方が歩く高さを意識されており、紙芝居や春夏秋冬を現す装飾等様々でした。(3階の廊下は春夏秋冬をモチーフにした廊下で、これは「施設に入居すると中々春夏秋冬を感じづらい」からとのことでした)

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■飛鳥晴山苑の入浴介助

 各ユニットには個浴(リフト付き)がついており、マンツーマンで入浴介助をしているようです。長い方だと1時間くらい入る方もいるとのことでした。1日4〜5人ユニット内で入れているようです。今回ご参加の方は、現役介護職員で特養は未経験の方だったのですが、その方に対しては「特養だと入浴介助が大変なイメージもあるかもしれないけど、そんなこともない面もある」と説明されていました。

注)個浴とは

まず介護施設の入浴設備には、一般浴と機械浴があります。一般浴は「歩行可能で入浴動作が可能な方」を対象にした設備です。機械浴は寝たままや座ったままでも入浴できる機能がついた設備です。一般浴は複数で入るタイプと、1人ずつ入るタイプがあり、それを「個浴」と呼びます。

 別途3階には特浴室もあり、機械浴が設置されていました。開設から12年経ち、その過程で介護度3以上の方のみとなったことも相まって、少しずつ特浴を利用される方が増えてきつつあるようでした。週2回、ほぼ日曜以外は入浴介助があります。日勤の方ではなく、早番の方が対応することが多いようです。

その道中、忙しさの話になりましたが、ここでも改めて「特養は忙しいイメージがあるかもしれないが、時間帯によっては一息ついて、利用者の方とゆっくり接する時間もある。自分(柿崎さん)も以前勤めていた特養は、ずっと動いているような施設だったが、その点は違う」とご説明されていました。

■職員の自発性について

 道中、アクアリムが設置されていました。これも職員発案で設置が決定されたようです。

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特浴があるフロアの前ということもあって、一定の時間をかけて検討し、設置されたとのことでした。結果的に、車椅子でアクアリムに来て、利用者の方が眺めていたり、ここを目的地として利用者の方が館内を回るという形で、効果を発揮しているとのことでした。メンテナンスは業者のようです。

こんなように「職員の発案は大変にウェルカムで、極力実現するようにしたい」と仰られていました。また利用者の要望に可能な限り応えていく個別のレクリエーション(個別レク)も増えてきているとのことです。利用者の方の「野球を見たい」「浅草で演芸を見たい」の要望を受けて、職員がそれを実現したいとう場合には、個別のやりたいことを可能な限り実現させている、とのことです。

■柿崎さんとの面談

その後、柿崎さんと面談でした。そこではこんな受け答えがありました。

体験者の方「職員の自主性・自発性を尊重しているように見受けられた」

柿崎さん「最初は難しかった。少しずつそうなった」「いまは学習グループが充実しており、口腔ケア・ノーリフティング(持ち上げない/抱えあげない介護手法)・看取り・自立支援等の研究を進めている。職員による内部研修、外部研修も多く、毎月2回は内部研修がある。ちゃんと残業代も出る」「今回は、特養未経験なので特養を経験したいと伺ったが、職員が誰かプリセプターが付き、例えばパソコンによる記録などもサポートがつく。相談しやすい雰囲気は心掛けている。新卒採用も一定以上あるので、研修が充実しており、新卒職員は一定の研修を受けてから現場に出る」

体験者の方「フロア間のコミュニケーションはどうか」

柿崎さん「学習グループ・係・委員会等で関わる機会がある。どこかのユニットが欠勤など出た場合はヘルプすることもある」「とはいえ、特養への転職は大変な面も大きいとは思う。この施設はその点大変だとは思うが一息ついたり、利用者のためにやりたいことを実現できる環境はあると思う」

編集部「勤務形態はどんな感じか」

柿崎さん「早番は0730-1630、日勤は0830-1730、遅番は1100-2000(1000-1900,1030-1930バージョンもある)、夜勤は1700-1000の16時間。だいたい早番は7〜8日、休みは9日程度」「シフトはリーダーと相談しながら決まる。遅番の次の日に早番というのは極力ないようにしている。希望休は月に2〜3日くらい。有給は取りづらいフロアがあるのは事実。何とか調整している」「夜勤は4〜5日/月程度。夜勤専任の方もいる。明けの残業はほぼ無い」

■体験内容

 その後、柿崎さんが所属するユニットで1時間ほど利用者との関わりを持つ機会を頂きました。今回ご参加の方は、一緒にタオル折りを利用者の方としたり、簡単なレクを体験されました。ユニットごとに自立度合いは異なるようですが、このユニットは比較的、自立度が高い方も多く、ユニット内の簡単なレクは大変盛り上がっていました。体験者の方が利用者の方と接するのを見ていて、施設としても、その方がどんな対応をされるか知る機会にもなっていて、相互理解が進む場になっている、と感じました。

また今回同席させて頂いた編集部は、その利用者の方の喫煙タイムに同行させて頂きました。お酒とタバコも有りとのことでした。夜勤明けのミャンマーから来られた介護職員の方が、その利用者の方を案内すると言うことでしたので、利用者の方・職員の方と共に喫煙場所までご一緒しました。その職員の方は日本には4年前に来て、今年の4月に入職後、初の夜勤だったようです。利用者の方と大変丁寧に接している様子でした。

■佐長施設長との面談

 最後は、佐長施設長、柿崎さん、事務局のご担当の方と、30分程度面談をして終了となりました。

体験者の方「特養のイメージが覆った。もっと忙しいな、と思っていたが、ゆったりとした時間は作れるんだと実感した」

佐長施設長「現場の職員の工夫の結果だと思っている。元々のイメージは正しい。工夫がないとすぐについうっかり、元に戻ってしまう。工夫することが大事。新しいチャレンジが大事。」「何か新しいことをやろうとすると忙しくなってしまうリスクもある。そこを超えることに面白さがあるし、仲間と一緒に活気を作っていきたい」「人員としては手厚くしているが、やりたいことを本当に全部やろうと思えば、それでもまだ十分ではない面もあるし、それは現実的ではない。そうすると工夫せざるを得ない。極力ないようにしているが、そういった背景もあって時にはデイサービスと特養の行き来がでることもある」

体験者の方「事前に施設長のインタビューを読んで『何かあれば言ってほしい』というコメントには大変心強いと感じた」

佐長施設長「元々はより小さい施設にいた。いまは現場に出て行くこともない。昔はよく『現場に来てください』と言われて行くこともあったが、いまは言われなくなったけど(笑)。」

■編集後記

 ということで2時間+30分に渡る体験は終了しました。その後のアンケートでは「特養に対する固定観念を覆った。スタッフの皆さんの自発性を引き出す働きかけが、感じられる場所だった」とコメント頂きました。

実際の現場を見て頂けると嬉しいですが、中々時間を確保するのが難しい面もあると考えています。そういった方に少しでもリアリティを感じていただければと思い、可能な限りそのまままとめてみました。

これまでインタビューで、佐長施設長や柿崎さんが仰っていた「職員の自発性を尊重している/もっとしていきたい」という話は何度も出ており、またそういった実例が見受けられて、本当にそうなんだと改めて感じた体験同席でした。