2021年6月12日18時より、「三大介護こそ尊厳を守るケア」ということで、三好春樹さんのセミナーを開催いたしました。

今回はその様子を、全5回にわたってお届けします!

実際の雰囲気を感じてみたい方、より詳細な話を知りたい方は、ぜひこちらの動画をご覧ください!

5月6日には、「三好春樹と排泄ケアを考えるアウケアツアー」ということで、排泄ケアについてのお話をいただきましたが、今回は、排泄ケアに加えて、入浴ケア・食事ケアを含めた三大介護について、お話をいただきます。

〈#4の目次〉 ■「快楽原則」と「現実原則」 ■認知症の食事ケアは〇〇が大事 ■「排便最優先の原則」とは ■機械浴ゼロは、夢でもなんでもない

動画34:01

■「快楽原則」と「現実原則」

「快楽原則」は、赤ちゃんの行動原理だと思ってください。極めてシンプルな、快か不快かの二者択一です。赤ちゃんは、快適ならニコニコか眠って、不快だと泣いてこれを周囲に訴えて、生きています。

もちろん人間発達していくと、ずっと快楽原則でいるというわけにはいかない。慣習とか、法律とか、エチケットとかで、我慢するってことを覚える。これを、やはりフロイドが、「現実原則」というふうに言いました。私たちは「快・不快の原則」という小さい頃に持っていた原則を、教育だとか常識だとかいうもので抑え込んで、社会生活を送っているわけなんです。

けれども、おそらく認知症のお年寄りの症状が「深く」なるというのは、この後で教わった現実原則が「快・不快の原則」に帰っていった、戻っていったということだと考えていて、そこから出てくる介護論っていうのがあるわけですね。それは何かというと、「不快をなくして快をつくる」ということをちゃんとやればいいじゃないか、ということなんですよ。それを、しかも生活の基本である三大介護の、食事・排泄・入浴で、ちゃんとやっていこうよ、ということです。

■認知症の食事ケアは〇〇が大事

食事は、「快」でなくてはいけません。「美味しいなあ」と思って食べる、「楽しいなあ」と思って食べる、それを作り出すのが認知症の食事ケアです。美味しいなぁと思って食べるためには、お腹がすいてなきゃいけないですから、お腹がすくような活発な生活がちゃんと前提としてあって、そしてしかも、自分が好きなものを食べる、というのが大切なんですね。「好きなものばっかり食べたら栄養が偏って長生きできなくなりますよ」なんて言うけれど、もうみんな長生きしている人ばっかりなんで、これまで食べてきたものがその人に合っていたから80・90まで生きて要介護になっているわけですから、これまでの生活習慣を変えないようにしようよ、ということでしょうね。

駒場苑の坂野さんの話聞いていただくと、チキンラーメンしか食べないっていうお年寄りがいたんですけど、それで長生きしたっていう話があったんですね。面白い話ですよね。近代栄養学なんていう画一的な方法論を、一人一人のお年寄りに強制する、なんてことはしないで、むしろその人の生活習慣の方を大事にしてあげる、ということの方がお年寄り生き生きするし、逆に長生きするよ、ということがあるんですね。

■「排便最優先の原則」とは

排泄を「快」にしたいんですよ。不快だと感じているお年寄りが多いんじゃないでしょうか。だって、特に近代的な個人、自立した個人というプライドを持っている人にとっては、オムツっていうのは屈辱そのものですよね。オムツの中に汚物があって、いつになったら変えてもらえるかわかんない、というのは、その近代的個人としてのプライドを根こそぎだめにされるんだ、ということになるでしょう。

赤ちゃんはこういう時不快だからっていうんで、泣いて周りにオムツ交換を要求するわけです。認知症老人は赤ちゃんと違って、幸か不幸か、おむつに手が届くんです。手が届くから、その不快なものを自分で排除しようとしますよね。そうすると、問題行動だと言われるわけです。

オムツの中に便がある、という不快な状態をなくすのは、それほど難しいことではありません。生理学に学んで、人間はいつ排便をしたいのか、ということを頭に入れて、それを排泄ケアとしてちゃんとやる。これを私は「排泄最優先の原則」という形で「うんこしっこの介護学」なんていう題の本で提案させていただいています。その中で、認知症のお年寄りに対する方法論をちゃんと提案させていただいていますから、それに基づいた認知症ケアをちゃんとやっていただければ、本人にとっても職員にとっても気持ち良い排泄ケアになるわけです。

■機械浴ゼロは、夢でもなんでもない

最後は入浴ケアですね。恐怖の機械浴ではなくて、「ああ、いい風呂だった」「生きててよかった」「今日1日終わったなあ」なんてお風呂にしましょうよ。日本人にとってお風呂は快適そのものなわけです。それが不快に変わるっていうのは大きいですよ。心身ともに落ち着かせる要素が、逆に不快になって問題行動の原因になるっていうのはもったいなくてしょうがないので、ぜひ駒場苑の入浴ケアを見習っていただきたいですね。機械浴ゼロということは、全然夢でもなんでもなくて、むしろそれによって介護量もぐんと減るんです。職員も生き生きするんですよ。

次回は『〇〇な人こそ良い介護職』」です。ぜひ合わせてお読みください!