さまざまな現場でご活躍される多種多様な介護職の方に、ただひたすらインタビューしていく「カイゴ録」。 今回は、前回の I さんのお話の続きです。 今関心のあるテーマやこだわりについて、インタビューしていきます✨

I さんのプロフィール

Iさん

I さん
関西で施設に勤務後、引越しを機に関東の事業所に就職中

自己紹介

けあ子

けあ子

前回のお話の続きを伺いたいのですが、当時は他にこんなことを考えていた、というのはありますか?

Iさん

I さん

前は施設だったのですが、利用者の方のお話を聞いていると、多くの方が願うことならおうちに帰りたいとおっしゃるんですよね、、それで、いつかは必ず在宅を支える仕事がしたいと思いました。右肩麻痺のおばあちゃんで、認知症もすこしあって、家に帰りたいといつも口癖のように言っていて、私はそれに対して「帰りたいですよね…」と、大した返答ができなかったのですけど、あるとき息子さんと電話していて、息子さんが電話口で「おふくろごめん」と泣いていて、そのおばあちゃんも泣いていて。

けあ子

けあ子
なるほど💦

Iさん

I さん
結局、その方は肺炎で施設で亡くなってしまったのですけど、ちょうど、五山の送り火の日でした。その日の送り火の風景を今でもよく覚えてますね。肺炎の高熱にうなされるそのおばあちゃんに対して、新人の私は何もできず、ただ「私たちが看病しますから、大丈夫ですよ!!」と声を振り絞って伝えて、その二時間後くらいに亡くなったんです。そんなことがありました。

けあ子

けあ子
そうでしたか… そこから、在宅の重要性というか、「住み慣れた家」が大事だと思われるようになったという感じですかね。

Iさん

I さん
はい。ほかにも、夜な夜な乳母車を押してナースステーションに来て「○○ですけど、家はどっちですか」と聞いてくるおばあちゃんとか。とにかく、帰宅したいという願いだけは、どれだけ頑張っても、施設には限界があり、かなえてあげられないのがもどかしくて。

家に帰りたい

けあ子

けあ子
そうすると、今「追求しているテーマ」も関連するものですか?

Iさん

I さん
在宅に限らず、介護全体に関連しますが、追究テーマは「終末期」ですね!「人が生きるということと、死ぬということは、どういうことなのか?」というような感じです。

けあ子

けあ子
とても難しいテーマですよね💦 そういうことを考えるようになったきっかけはあるのですか?

Iさん

I さん
きっかけは、現場に入って3日目に初めて利用者の方が亡くなって。なんでしょう、なんでこの仕事をしているのか?人生の幕を閉じようとしている方を支援するには何が必要なのか?どういうことが起こればその支援が成功だったといえるのか?などなど考え始めたことですかね…

けあ子

けあ子
なるほど…

Iさん

I さん
とにかく毎月人が亡くなるので、死というものを考えずにはいられない環境でした。

けあ子

けあ子
そうですよね。何かその答えらしき兆しは見えていますか?

Iさん

I さん
それは子供を持ってからひとつ得られたものがあって。「死は生と繋がっている」ということです。死は、次の生と繋がっているんですよね。今の事業所で、あるおばあちゃんの看取りに、自分の子供、といっても半年の赤ちゃんだったので本人はよくわかってないのですが・・を立ち会わせたときに、一世紀近くも年が離れた人間が、今同じ空間と同じ場所にいる偶然を感じて、ああ、こうやって、当たり前に、人間は亡くなっていくし、そして、次に生まれる命があるんだなあ、と。

けあ子

けあ子
なるほど✨

Iさん

I さん
季節がめぐるような、当たり前さを、そこで痛烈に感じたんですよね。ひとりの個別性のある人を超えた、大きな生命のサイクルというか。

けあ子

けあ子
なるほど〜〜それはとても興味深いですね。昔は、そういったことが、自然と感じられたのでしょうね。今はなかなか難しそうです💦

Iさん

I さん
そうかもしれませんね。人として生きる中で、一年中施設の中にいたり、行きたいところにでかけられなかったり、近場の散歩はいいけど趣味だった旅行はできないとか、酒は飲めないとか、そういうことは不自然なわけですけど、そんな現場がたくさんあるわけで…。介護職としては「当たり前を見失わずに、本人の望む生活を実現する」ことにこだわりたいです。そして、いろんな方を看取りまで支援させていただいて、次の世代に、自分の生き方としてバトンタッチしていく。そんな風に働き続けられたらと思っています。

けあ子

けあ子
ありがとうございます。素晴らしい締めになりました😄

I さんの「カイゴ録」、いかがでしたでしょうか?✨こんな形で、現場で活躍される介護職のこれまでや今を、ひたすら伺っていく「カイゴ録」です。 この企画は、インタビュー終了後にその方が尊敬する方をご紹介いただき、次回はその方にインタビューをさせていただく、という流れになっています😄

次はどんな方にインタビューすることになるのか・・・是非楽しみにお待ち下さい⭐️

次回予告