■ダメなものはダメということで施設が上向いた

編集部:今日はかすみの里の戸板謙次施設長にインタビューをします。宜しくお願い致します! 戸板 :宜しくお願い致します。

編集部:早速ですが、簡単に施設長になられるまでの経緯を伺えればと思います。 戸板 :はい。いまの法人永甲会では19年目になります。法人自体は、永甲会で3法人目です。永甲会では、最初はデイサービス、その後、特別養護老人ホームに行き、ケアマネージャーを経て施設長を務めました。一度、法人の事務長を務め、その後、エビノ園へ異動し施設長経験したのち、高齢者施設・障がい者事業所・保育園など6事業所が集合した総合福祉施設かすみの里に赴任しております。

編集部:いろいろと歴任しているのですね! 戸板 :そうですね(笑)。

編集部:介護の世界では、最初は現場だったのですか? 戸板 :学生時代にはアルバイトで介護をやっていたのですが、社会人としての最初は、生活相談員からでした。企画・運営・管理側というイメージで相談員で入ってみたのですが、介護の経験がない状況で悩み、挫折をして、現場を知ることが必要だと想い、新たな法人で介護職として再出発しました。

編集部:そうだったんですね。 戸板 :実際にやってみると、おむつ交換・入浴・・人との関わりがとても面白いと思いましたね。

編集部:そうでしたか!3回転職され、永甲会ではいろいろと歴任された結果、かすみの里に施設長として着任された当初は、どんな状況だったのですか? 戸板 :そうですね・・・正直なところ、キャリアを積んできた職員と、まだこれからの職員がいる中で、目指す法人理念とのGAPがある状況でした。こういう仕事はチームでやらなければならないのですが、チームで決めたことが、進まないという感じでしたね。

編集部:なるほど。職員お二人にインタビューをした限りでは全くそんな様子は感じられなかったのですが、当時はそんな感じだったのですね。そこにはどう対応されてこられたのですか? 戸板 :1年目は、まず現場に足を運ばないと、と思い、奥田(現施設長補佐)と、もう一人施設長補佐(今別の施設で施設長を務めている)の2人と、対策をしていきました。会議が始まる前に、よく3人で作戦会議をしていましたね。

編集部:そうだったのですね。 戸板 :職員に対しても「良いことは良い」「悪いことは悪い」ということで、厳しく言う様にしました。実際、それで辞めた職員もそれなりにいましたね。会議で決めたことを、会議が終わってから覆す、ということなどには、はっきり言う様にしました。会議で言えば良いのに、決まった後に言う、そういったことに対しては、はっきり伝えて、統制を取る様にした形です。

編集部:「良いことは良い」「悪いことは悪い」というのは、言葉にすると簡単ですが、実行に移すのは難しかった様に思います。どうしてそれを徹底することができたのでしょうか? 戸板 :前の施設での苦い経験とかもありますが(笑)、やはりそれが、職員・里人さんになると思うからです。人は感情で動くと思うので、本音も建前もどちらも重要です。が、組織に関しては、建前ではダメで、その時々で、本音が言えないと長続きしないと思います。人間関係を正していける、どれだけ嫌われようが、それが出来ないと施設の為になりません

編集部:なるほど〜。確かにそうですよね・・。 戸板 :昔上司だった、前任の理事長が鬼の様に怖かったんですよね(笑)。できないことはちゃんと叱る一方で、愛情がある。何かあったら、責任を取る。そんな対応を直近でずっと見てきました。今度は自分がそれを示していかなければ、と思ってやっています。毅然とした態度で臨むのが、自分の役割ですね。

■新しいことにチャレンジし続けたい

編集部:素晴らしいです。そういった経験を踏まえて、今はどういった方針を大事にされていますか? 戸板 :職員がもっと楽しまないと、と思っています。「職員が楽しく仕事をしなければ、里人さんも楽しくない」ということですね。1日の1/3を過ごす職場で、「わたしの居場所ってここ」と思ってもらえる様にしていく事が大切だと考えています

編集部:なるほど・・・! 戸板 :淡々と仕事をしていても面白くないです。綺麗事の様ですが、仕事を通じて、人生観・人間性を高めていくことが、仕事の目的だと思っています。それを経て、お互いに本物の仲間になって、切磋琢磨していけます。

編集部:職員お二人のインタビューは素晴らしかったのですが、その理由がわかってきましたね(笑)。 戸板 :失敗もありましたよ(笑)。「地域で一番の挨拶ができるようにしよう」という方針を掲げた時は、「施設長、何言っているか、わからない」と言われてしまったり。そういった経緯を踏まえて、今は、 職員を認めて、任せていく、信頼していく。それを最近ずっと大事にしています。職員がいなければ、運営できませんからね。

編集部:そうだったんですね!よくわかりました。逆に、今、施設長が感じている課題はありますか? 戸板 :少し前で言うと、研修の機会を増やしたいと思っていました。なかなか外部の研修に出て行ってもらうのは、職員配置的に難しい状況がありましたので、職員配置の見直しや業務の見直しと並行して、学びの機会への参加ができるように施設に外部講師を呼び、より多くの職員に参加できるようにしています。みんなで同じことを学ぶので、自ずと底上げされます。

編集部:なるほど。 戸板 :研修を多く行う為には、人員配置が大事です。パート職員の採用であったり、掃除や洗濯、皿洗いをしていただける方を介護助手として採用しつつ、ゆとりをもったケアを目指しています。業務の見直しと、配置の見直しを、スピード感を重視しながらやってきました。

編集部:素晴らしいですね。 戸板 :そういった積み重ねで、介護の想いは年々高まっているのは、事実です。一方、まだ、自ら考えて行動できる職員を増やしてく余地はあると思っています。やるべきことに気づいて動けるかどうか、それは、経験値で埋めるしかないと思っています。そういった想像力を底上げしていくことが課題ですね。

編集部:なるほど。 戸板 :研修などは、3-5年後に向けた投資ですよね。新しいことにチャレンジしないと、マンネリ化します。なんでも良いので、面白いことをやってみる。施設長補佐の奥田が言ったことや、現場で上がってくる声、それらに、耳をダンボのように傾けて、そこを解決するため、お金が掛かるものでも必要と判断すれば投資としては安いものです。ICTなど、そういった未来投資については、もっとしていきたいと思っています。

■理念への共感が全て。職場体験やボランティアで肌が合うか確かめて欲しい

編集部:ありがとうございます。とてもよくわかりました。そういったかすみの里ですが、施設長としては、どんな人にきて欲しい、というのはありますか? 戸板:新しいものにチャレンジできるのが大事です。他責の職員は伸びません。自責できる職員、つまり、自らを省みて、チャレンジする人ですね。

編集部:施設としての方針を踏まえると、納得です。そういった方々にとって、かすみの里の良さはなんだとお考えですか? 戸板 :他で介護職の経験をしていても、していなくても、人との関わりを大事にしたいと思っている人は、マッチするかなと思います。法人全体で、人事評価制度が10年以上前から作り込みました。良いところも褒めるし、悪いところは「もうちょっとこうしたら輝くのでは?」ということを面談を通じて伝えますね。そういった、本音のトークをするのが、かすみの里の良さです。

編集部:なるほど。 戸板 :ただ仕事をしにくるだけではなく、人間性を上げていく。人生を豊かにしていく、ということを 感じていただけると思います。バースデイ休暇も試行的に取り入れたり、時間有給も試行的に取り入れています。労使協調型の労働組合もあるので、安心して働ける環境があります

編集部:よくわかりました。逆に「最初に知っておかないと後からGAPを感じるかも?」という点はありますか? 戸板 :法人の理念に共感できるか?に尽きますね。細かいところよりは、法人理念を見て、理解をして やってみたいと思えるか?という点が大事です。迷った時に、法人理念に立ち返ります。なので、施設見学だけでなく職場体験やボランティアを通じて、肌に合うか、実際にやってもらうことを大事にしています。直感的にできそう、だと感じた人は、続いているみたいです。よって、職場体験・見学、理念への共感は必須かなと考えています。

編集部:ありがとうございます。一貫しているので、とてもわかりやすかったです。最後に言い残しがあれば、お願いいたします。 戸板 :長く働きたいと思っている人に是非きて欲しいですね。自分を高めたいとか、ステップアップも良いですが、長く務めて、大きな歯車になり、意見を言えるポジションになれば、いろいろやれます。そう言った思いを持ってきていただける方には、こちらも本音でいろいろと伝えます。採用を通じて、人生を預かること、施設長の責務だと思っていますので、安心してきて下さい!

編集部:ありがとうございました!