編集部 :これまでとらいふ武蔵野においては、リーダー陣を中心にインタビューをしてきましたが、改めて施設長である大脇さんにお話を伺います。宜しくお願い致します! 大脇 : 宜しくお願い致します。

職員発案で、とらいふのサービス理念が言葉に

編集部:まず4月にとらいふ武蔵野に再着任されましたが、戻ってきた時は、どの様な現状だったのでしょうか? 大脇 :再着任まで「1年半のブランク」がありました。その間、大変な状況になっているという話は耳には入っていました。戻って来た時の状況の一つとして、派遣職員の比率が高かったことが挙げられます。

編集部 :どんな感じだったのですか? 大脇 :ユニットによってはユニットリーダーと外国人職員2名と派遣職員というユニットもありました。派遣の場合、直雇用の職員の様に多様な役割を持ってもらうのは難しい面もあります。結果、直雇用職員に負担が掛かっていました。

編集部 :そうだったんですね。 大脇  :インタビューをして頂いたリーダー陣がいたので何とかなると思っていましたが、そのリーダーでさえ「ゴールの見えないマラソンは辛い」という発言が出る状況になっていました。

編集部 :厳しい状況が伺えますね。 大脇  :そこで、最初の3ケ月で「施設は変わろうとしている」とスタッフに感じてもらうことが大事だと思っていました。傍から見ると「大脇は戻ってきて張り切っている」と見えていたかもしれませんが、実際は「焦っていた」というのが正直なところです。変化の兆しが必要でした。

編集部 :他にはありましたか? 大脇 :問題は特養だけではありませんでした。デイサービスにおいても核となるセンター長が不在で私が兼務していました。このままではデイサービスが空中分解する危険性がありましたので、8月から事務局長に特養の施設長の役割をよりサポートしてもらいつつ、私が軸足をデイサービスに置いてデイの立て直しを図っている状況です。

編集部 :なるほど・・・ 大脇 :稼働率や登録人数等の実績は上がってきましたが、職員の意識改革を図り、介護レベルを上げていくのはまだこれからの状況です。

編集部 :そういった最初の段階を超えて、何か変化はありましたか? 大脇 :ありました。全ての職員に「考え方」を理解してもらうのは難しいと思っていましたが、賛同してくれる職員も出てきました。そして、職員側から「今の法人理念に基づく、サービス理念を作っていこう」という声が上がってきたんです。

編集部 :それは素晴らしいですね。 大脇 :看護師資格を持った生活支援部門の統括リーダであるKさんが中心となって「この施設を何とかしよう」と奮闘する中で「みんなに同じ方向を向いてもらう為に、具体的な軸となるものを作っていこう。」という流れになっていきました。

編集部 :Kさんから提案があったんですね。 大脇 :そうです。「トップダウンではなく、自分達で考えたい」とのことでした。法人理念は「理想感が強くて身近に感じづらい」ということはよくあることです。そうではなく、理念を「当たり前の物」として「何かあったら振り返る、立ち返る」物にしたい、ということになりました。勿論、法人理念がコアにあるので、それに沿った形で決めていこうというスタートです。

編集部 :そういった動きが出てくるのは本当に良いことですね。大脇さんはどんな形でその過程に関わったのですか? 大脇 :「とらいふを考える会」が立ち上がりました。立場に関係なく、施設長だろうが、ドライバーだろうが、清掃担当だろうが、新人だろうが誰でも参加可能、ということにしていたので、当然、私も参加しました。

編集部 :はい。 大脇 :しかし「施設長がいると話しづらい」という声も上がった為、途中からは不参加です。只、理事長にもオブザーバーとして参加してもらったこともあります。

編集部 :今は、このプロジェクトはどういう状況なのでしょうか? 大脇 :「サービス理念」と「求める職員像」がまとまったので、それをカードにして職員に配布することになりました。全職員への浸透はまだこれからですが、リーダー達からは、「これは業務を行う上で旗印になる。今後リーダーはこの理念が具体的な諸業務にどう結びついているかということを落とし込んでいかないといけない」という声があがっていて、素晴らしいなと感じました。

編集部 :それは心強いですね。大筋の内容はどんなものですか? 大脇 :「職員都合ではなく、入居者都合で考えよう」というのが軸です。「生活を支える、その人が自分らしく、楽しく、充実した生活を送れる為の伴走者となる」ということを明確にしました。入居者が望む事は何か?そのサポートとして何ができるのか?を考えることに重きを置いています。

「うちの地域にはとらいふがあるから安心だ」「武蔵野市で介護をやるならいつかは“とらいふ”で」の2つの目標

編集部 :実際のサービス提供に今後どう結びついていくのか、とても楽しみですね。これまでの状況を振り返った感想としては、どんなものでしょうか。 大脇 :先程の通り、考え方に賛同してくれる職員も増えてきました。派遣職員もまだ多いですが、派遣職員の方の中にもそこに共感して「直雇用になりたい」という職員も出てきています。その点は前進したと感じています。

編集部 :良かったです。先程サービス理念の話を伺いましたが、大脇施設長としては、どんな施設にしていきたいというのはあるのでしょうか? 大脇 :はい。今は特養75床、ショートステイ5床に加えて、併設デイサービス+別事業所のデイサービスと認知症対応デイサービス、更に18床のグループホームがある状況です。これらの3つの事業所全体を通じて、「うちの地域にはとらいふがあるから安心だ」と地域の方々に感じてもらえるようになりたい、と考えています。

編集部 :ありがとうございます。素晴らしいですね。他にはありますか? 大脇 :あります。それは「武蔵野市で介護をやるならいつかは“とらいふ”で」と思ってもらえる施設になることです。これもずっと前から思っていたことでした。

編集部 :理想に対して、いまは実態としてはどのような現状ですか? 大脇 :はい、まず地域ですが、特養においては施設長である私一人しか地域と繋がっていない状況です。それを個人ではなく、施設全体の繋がりにしていかなければならないと考えています。

編集部 :具体的にはどんな感じでしたか? 大脇 :具体的には、リーダーが地域に繋がるような状況を作りたいです。やっと入居者とご家族の直接面会が今週から再開したところです。これを皮切りに、先ずはリーダー陣が地域に出向いていけるようにしていきたいと考えています。

編集部 :なるほど。 大脇 :地域には防災会、コミュニティセンター、福祉の会、防災会等があるのですが、今は私が担当しています。その中で、例えば施設内の防災委員長が地域の防災会の委員になってもらうようなイメージです。そうしたことからスタートしたいと思っています。

編集部 :いいですね! 大脇 :「地域にとって社会福祉法人はパートナーである」という理解を深め、浸透させ、実践していく必要があります。只、地域との関わりの経験がないリーダーも多いです。その為にも地域の繋がりがどれだけ大切なのかを説いていく必要がありますが、まだまだ施設内の足元を固める必要がありますので、まだ1年は難しそうな現状です。

編集部 :率直にありがとうございます。もう1点については、いかがでしょうか? 大脇  :「ブランド施設」という点ですが、ベースとなる「接遇」「言葉遣い」「社会人としての規律」等、まだ十分なレベルとは言えません。そこを職員教育や研修を充実させることでどう引き上げていくのかが課題です。

編集部 :こちらもまた大変そうな課題ですね。 大脇  :そうですね。各リーダーが講師となって伝えるというのは、同じ施設内ということもあり、素直に受け止められない気がしています。外部の先生を呼んで実施した方が良いかなと考えています。特に、接遇面はそうです。今は、底上げが必要な状況なので、そこをまずはやっていき、一から教えていく位の気持ちでいます。

編集部 :こちらも実態をそのまま教えて頂き、ありがとうございました。理想は明確にありながらも現状はまだこれから、という点がお話を通じて感じられました。

まだまだ道半ば、一緒に作りあげたい職員を求む

編集部 :これらを踏まえたときに、今のとらいふの状況に合う方というのは、どんな方だとお考えですか? 大脇  :施設としては5年目で、現状作り上げている段階です。世の中には大きく分けて2つのタイプの職員がいると思っています。一つは「立ち上げから作り上げることにやりがいを感じるタイプの人」と、もう一つは「システム等がしっかりと出来上がった所に入って力を発揮するタイプの人」です。これは良し悪しではないと思っています。

編集部 :なるほど。好みであり、適正ということですね。 大脇  :そうです。とらいふは「立ち上げから作り上げることにやりがいを感じるタイプの人」を求めています。悪いところも含めて隠すつもりはありません。問題点は沢山あるという理解をしてもらった上で来てほしい、ということです。

編集部 :確かにそれがお互いにとって、長い目線で見ると良いですよね。 大脇  :介護に対して、施設作りに対して強い覚悟を持って、入ってくれる人を求めています。

編集部 :是非、この記事を読んでほしいですね(笑) 大脇  :丁度、とらいふを一度辞めた人がアウケアの記事を見て出戻りを考えて見学に来てくれました。その人が面接希望となり履歴書を送ってくれたのですが、面接時に「何で履歴書を送る気になったのですか?」と聞いてみました。その答えは「信頼できるリーダー達が残っていたこと」「施設長の話を聞いて、全く諦めていないというところに共感したから」ということでした。

編集部 :それは嬉しいですね。 大脇  :覚悟を持って作り上げた先には間違いなく達成感があり、それは一生の宝です。その作り上げた時の喜びを想像してやっていける人が、今のとらいふに合っていると思います。

編集部 :よく分かりました。この記事を読んだ時にどんな感想を持つ方だと合っていると考えられるのでしょうか? 大脇  :これまで面接した感じでは「迷った人は結果として来ていない」という感じがします。来る方は、ぱっと来ました。迷う人は多分、過去に施設の立ち上げを経験して大変な目に合っていて、それがトラウマになっているのかもしれません。只、これらの状況を分かった上で飛び込もうと動ける人こそ、合っている方、ということになるのだと思います。

編集部 :ありがとうございます。これらの方にとってとらいふで働く魅力というのはどういった点になりますか? 大脇  :とらいふには特養だけではなく、グループホームやデイサービスもあります。色々な立場で高齢者介護に関わることができます。一法人の中で、色々経験できるという魅力です。そしてもう一つ特筆すべきは、トップである理事長の姿勢です。理事長自身も理念の実現を諦めていません。トップがぶれずにしっかりしているということは安心感を生みます。私自身もそこに共鳴したので戻ってきました。

編集部 :そうですか、他にはありますか? 大脇  :先程のKさん始め心底信頼できるリーダー達がいることです。この人達は全国どこの施設と競っても負けないリーダーだと自負しています。このリーダー陣がいる限りは、理想を実現できると信じています。そのリーダーの元で学べる、働けるということが、とらいふの最大の魅力ではないでしょうか。

編集部 :よく分かりました。とらいふの考える理想から今の実態まで、余すことなく話して頂きました。最後に一言ありますか? 大脇  :私自身は統括施設長という立場にあり、特養の施設長とデイサービスのセンター長を兼任しています。今はデイサービスの立て直しに注力していますが、デイサービスのセンター長をやってみたい、GHのユニットリーダーをやってみたい、GHで認知症の方を対象に介護したいという方にも来てほしいと考えています。

デイサービス経験がある人で、センター長をやってみたい方、是非ご応募下さい。

又、これまで自分がやってきたことをどこまで出来るか、チャレンジしてみたい、という人にも来てもらえると良いかもしれません。更に,未経験者であってもやる気と人間味があればウェルカムです。臆することなく来てほしいと思います。先ずは見学からお越しください!

編集部 :ありがとうございました。 大脇  :ありがとうございました!