■小学生の時から介護を志す

編集部:今日は特別養護老人ホームかすみの里に、新卒で入職し、8年目でユニットリーダーを務める野原めぐみさんにインタビューします。宜しくお願い致します! 野原 :宜しくお願い致します!

編集部:早速ですが、まずはかすみの里に来たきっかけなどを教えてください。 野原 :はい、かすみの里には新卒で入社したのですが、就職フェアに参加した際に、永甲会が来ていました。ちょうどかすみの里がオープンするということで、家も近いし、見学に行ってみることにしました。

編集部:なるほど。 野原 :まだかすみの里は建物ができていなかったので、系列のうねめの里を見学してみると、里人(利用者の方を永甲会ではこのように呼んでいます)と入居者の距離が近そうで、良さそうと思い、他の法人を見学せずに決めることにしました。

編集部:そうなんですね!特に不安とか懸念はなかったのですか? 野原 :その時はあまり何も考えていなくて、不安とかはありませんでした(笑)。むしろ自分たちが作り上げていける楽しみを感じていました。それに、入る前から、勉強会をしてくれる機会や、親身になって相談してくれる機会も多く、「働きやすそう」とか「自分らしく仕事できそう」という感覚を持っていました。

編集部:それは素晴らしいですね!ところで、野原さんはどうして介護の世界に足を踏み入れたのですか? 野原 :実は、小学校から介護の仕事をやりたいと思っていました!

編集部:小学校ですか!それは早いですね(笑)。 野原 :近所のデイサービスに行って、楽しかった思いがあったんですよね。中学校でも職場体験をして、さらに興味が湧きました。元々祖父母好きだったということもあり、高校卒業後も、介護の資格をとるために進学しました。

編集部:中学校の職場体験で、という話は何人かに聞きましたが、小学校というのは初めてでした(笑)。そんな思いで、かすみの里に入って、最初の頃はいかがでしたか? 野原 :入って2-3年目くらいまでは、葛藤とか苦労がありました・・。オープニングということもあって、当初は、メンバーの入れ替わりも多く、結果的に、自分の立場が上がっていきました。

編集部:オープニングの時は、時折ありますよね。 野原 :はい。入居者に対する思いは今でも変わっていません。ですが、認知症の方への知識などについては、昔は劣っている部分もありました。それもあって、里人さんへの対応について「こうしていったら良いのに」という自分の考えに対して、意見が通らず、苦労することも多々ありましたね。1人だけで完結できる仕事ではないですからね・・・。

編集部:なるほど。 野原 :性格上「どうにかしていきたい」「言いたいことを飲み込まない」タイプなので、上司だろうが、どんどん話して行って、跳ね返されることが多くありました。泣きながら話したりすることもあったりして(笑)。楽しいだけではなかったですね。

編集部:そうだったんですね。そんな時は、どうやって完結していたのですか? 野原 :奥田さん(施設長補佐)を中心に、話し合う時間を作ってくれて、間に入ってくれたりしていました。「こういう時は、こう考えたら?」みたいなアドバイスをもらうこともありました。時間を置いてからでも、意見が通ることもありましたね。

編集部:なるほど〜。8年の間、特に最初は大変だったんですね・・・! 野原 :一度辞めようと思った時もありました(笑)。仲が良い同期もやめた時期で。その時は周りも支えてくれて、話を聞いてくれましたね。奥田さん(施設長補佐)も。それでなんとか持ち直すことができました。

編集部:それはいいお話です(笑)。

■本当に浸透している「里人さんの立場になって考える。」という理念

編集部:話は変わりまして・・永甲会は理念の浸透に注力しているとホームページでも書いています。実際のところ、どうですか? 野原 :理念の浸透・・は本当ですね!ユニット会議の前に、理念を唱和していますし。

編集部:なるほど!それはすごいです。特に「浸透している理念」、「まだまだの理念」、それぞれありますか? 野原 :「里人さんの立場に立って考えます。」というのは、特に浸透していますね!新人の職員でもできています。

編集部:そうなんですね。ユニットリーダーとして浸透の工夫はありますか? 野原 :はい。ユニットリーダーになったのは、入職して4年目の時ですが、上手くいかない場面もあり、悩んでいた時期もありました。

編集部:なるほど。 野原 :そこからは、会議を大事にするようになりました。特にチーム全体でやる会議の前にも、個人個人と1対1で話す場を持って、意見を聞くことを大事にしています。「いま思っていることはないか?」「この人に対してどう思う?」と聞くようにしています。もちろん、そこで意見を取り入れて、うまくいかないこともあります。それでも、私自身の意見を引いてみて、その職員の意見を聞いてみたりすることもあります。「会議でどういう話をしたい?」と聞くようにしますね。その積み重ねで、もし何かあった時に、いざというときに、私自身の意見を聞いてもらえますし(笑)

編集部:「里人さんの立場に立って考える」というのを、それぞれの職員がどう考えるのか?という吸い上げをだいぶ丁寧にやられているんですね!当初、やはり失敗とかもあったんですかね(笑)。 野原 :はい。自分がリーダー1年目のタイミングでは、ユニットを異動してリーダーをやることになりました。環境が全部変わって、初めは慣れない環境だったのですが・・・そこに年配の職員がいて、その人が意見が強い方で、そこで鍛えられましたね(笑)。その経験を通じて、話し合う大切さを実感して、職員が、何を求めるのか?を考えるようになりました。

■課題は地域との連携。「施設に入ったら何もできない?」というイメージは払拭したい。自分たちが楽しむことがまず大事

編集部:ありがとうございます。よくわかりました。「まだまだの理念」の方はどうでしょうか? 野原 :「施設は孤立せず、家族・地域との連携を考えます。」の「地域」の部分ですね。地域ともっと近くなれば、里人さんがもっと住みやすくなるのでは?と考えています。コロナの流行があるので難しいですが。

編集部:なるほど。 野原 :そのために、SNSなどでの発信が必要だと思っています。介護職のイメージに対して、良いイメージは少ないです。そこを変えていきたいと思っています。最近やっているFacebookライブもそれが理由です。

編集部:そうだったんですね!介護職の良いイメージについて、何を伝えていきたいとかありますか? 野原 :施設に入ってしまうと、「自分がしたいことができない」「食べたいもの食べられない」というイメージがあるんじゃないかなって思っています。

編集部:はい。 野原 :そうじゃなくて、全てができなかったとしても、今までやってきたこととか、できることはある、というイメージを伝えていきたいです。例えば、夕食にカレー、お寿司のデリバリーとか、その人たちが食べたいものを食べられます。「あそこいきたい」「ここいきたい」ということも実現できます。

編集部:確かにそうですね。 野原 :なので、「施設に入ったら何もできない?」というイメージは払拭したいです。身近なことでは、施設には喫茶店もあります。もっと地域の人も入ってこれるようにしたいですね。

編集部:素晴らしいですね。そういったイメージを伝えるために、どう発信していったら良い、とか考えはありますか? 野原 :現場の自分たちが発信をしていくべき、と思っています。職員自身が、まず楽しむことが大事で、その様子を伝えていけば、伝わっていく、と考えていますね。

編集部:なるほど。その積み重ねで、地域に介護のイメージが伝わり、より連携が取れるということですね。素晴らしいですね・・・! 新卒からかすみの里にいる野原さんから見て、今のかすみの里に合っている職員は、こんなイメージ、というのがあれば、是非教えてください。 野原 :そうですね・・自発性がある人が良いと思います。自分の思いとか、ああしたいこうしたい、という意見があった方が、現場もマンネリしません。リーダーの考えだけだと、マンネリするんですよね。新卒・中途に関係なく、そういう方が入ってくれれば、施設がレベルアップしそうです!

編集部:ありがとうございます。よくわかりました。最後に、野原さん自身が、今後どういうことをやっていきたいか、教えてください。 野原 :里人さんが自由に、楽しく、暮らせる環境が一番です。職員もどんどん成長して、みんなが楽しめる環境を作っていきたいです!まずは、まわりの自発性をサポートしていき、意見を受け入れていく / 取り入れていくことで、わたしのユニット、ではなく、みんなで、里人さんにとっての環境を、作り上げていきたいですね。

編集部:インタビューを通じて、野原さんの一貫した考えが伺えてよかったです。ありがとうございました! 野原 :ありがとうございました!