■自分なりの介護観を燻らせている人にきてほしい

編集部:本日はよろしくお願いします!まず、どういう経緯でとらいふ武蔵野で働くことになったのか、教えてください。 K  :前職が、武蔵野市の地域包括支援センターの生活支援コーディネーターとして、とらいふの事業所「ぐっどうぃる境南」で、地域の方の相談や、介護予防のサロンをやったりしていたんです。これは、産休の職員の代わりで入っていて、その方が戻られてきたんですね。そのタイミングで、特養のところで働いてみないかと誘われて、入職しました。

編集部:そうだったんですね。その事業所で働かれる以前は、どのようなお仕事をされていたんですか? K  :もともと、武蔵野市にある三次救急の病院で看護師をしていて、その後、三鷹の老人ホームに、ケアマネ・看護師として10年くらい勤めていました。看護師時代に、特別個室の病棟に配属されて、癌の末期の方や認知症の方と関わりがあったんです。その時に、慢性疾患の方の生活を支えたいと思うようになりました。慢性的な疾患を抱えながら生きていく上では、病気の知識も生活上の工夫もたくさん必要です。その人の生活につながる支援をしている、という実感をもてるのが良いなあと思っていました。

編集部:そうでしたか…! K  :だから、ベースは看護師とケアマネで、生活相談員はしたことなかったんです。全く素人の状態で、生活相談員として、とらいふ武蔵野に入りました。その後、一時期、看護師とケアマネも含めて3つを兼務していましたが、今は、ケアマネ兼生活相談員をやっています。相談員としては、入居のところから看取りまでを相談させていただきますが、医療相談も担ったりしています。

編集部:いろんなご経験をされているのですね。とらいふ武蔵野で、生活相談員として働くことの良いところは、どこにあると思われますか? K  :施設としての理念や、どういう支援をしていきたいか、というビジョンがまだぼんやりとしていて、これからなんですね。私は、三つの職を経て今、施設づくりに面白みを感じているんです。どういう施設にしていきたいか、というのを手探りで考えて、去年一年で見えてきた部分もあります。なので、施設づくりの中心になれる、というのは魅力ではないかと思いますね。

編集部:なるほど! K  :それから、施設には、介護・医療・看護・栄養・機能訓練など、いろんな専門職の方がいますよね。「多職種協働」と言ってしまえば簡単な言葉ですが、やっぱりそのプロフェッショナル達が協働できるのが一番だと思っていて、生活相談員は、その旗振り役としての役目も持っていると思います。

編集部:利用者の方にとっても、施設にとっても、とても大切な存在なのですね。Kさんは、どういう職員にきてほしいとお考えですか? K  :「人間」や「生活」に対して、関心がある人ですね。施設の仕事って短絡的に捉えられがちなこともあって、それだと、ただ業務をこなして終わりになってしまうんです。でも、それまで長く社会で生きてきた人が、施設で終わりを迎える、となった時に、その方が、「どういう風に生きてきたのか?」「家族と、地域とどう過ごしていきたいか?」「どう人生を終わりたいのか?」と考えられるのが、入居者やそのご家族に対して、一番必要な姿勢ではないかと思っています。

編集部:確かにそうですね。 K  :それから、介護現場は、いろんな年齢で、いろんなところからきた人がたくさんいて、それまでそれぞれの業界では正解だと思ってきたことが通用しないことが多々あるんですね。だから、チームでの柔軟性や、器の大きさみたいなものが、ある程度必要なのではと思います。

編集部:なるほど。 K  :相談員に興味を持つのは、今までに特養や有料老人ホームでの施設介護をやってきた人なのではないかと思います。疲れて潰れちゃう人も多いですが、自分なりの介護観を持っていて、今までの施設でそれが認められずに燻っている人がいたら、ぜひきてほしいなと思います。

■様々な職場で学んできたことを、仲間に恵まれて、形にできている

編集部:とらいふ武蔵野にはそれを実現できる環境がある、ということですね。これからKさんはその様な環境で、こんなことをしていきたいというのはあるんですか? K  :そうですね。私も実は野望があって(笑)、ここで「暮らしの保健室」のようなものをやりたい、と思っているんです。前職の時から勉強していて、お年寄りが日々立ち寄ることができ、地域で健康に歳が取れてポックリいけるような、そういう場づくりをしたいと思っています。この施設は、住宅地の中にあって、緑があって、ガラス張りで開放的で、ぴったりだと思っていますね(笑)。

編集部:とても素敵です! K  :施設に入る時に、喜んで入るだけではない、というケースも見てきました。ご家族の方が、後ろめたい思いをもってしまっていることもありましたし…それをなるべく緩和したい、という思いもあります。できるだけ在宅で過ごして、どうしてものときにはとらいふ武蔵野があるよね、と思ってもらいたいですね。そのためには、ここがもっと地域の人に知ってもらえることが必要だと思っています。

編集部:そこにも「暮らしの保健室」をやることの意味があるのですね。そのほかにも、とらいふの魅力はどこにあると感じておられますか? K  :とらいふは今、看取りケアを頑張っています。ACP(アドバンス・ケア・プランニング)の実践というか、きちんと入居時から説明して、医療的なサポートもしっかり行えるような体制づくりをしています。過剰な医療を受けずに、自然な形で最期を迎えたいと希望する方には、極力対応できるようにしていきたいです。

編集部:そうなんですね! ちなみに、高齢施設で働こうと思う看護師って、そんなに多くないように思うのですが、Kさんはどう思われますか? K  :私も昔びっくりしたことがあるんですが、「老人ホームは看護師の墓場」と広告に大きく書かれていたんですね。実際自分も、病院から老人ホームに、と言うと、みんなに「かわいそう」と言われるんです。

編集部:やはりそうなんですね… K  :今は、看護学校でも地域看護について、皆さん多少は関心があるかもしれません。ちょっと前までは、「高齢施設は、リタイア間近の看護師が楽をするために行く」「施設看護は病院よりもレベルが低い」みたいな風潮がありました。

編集部:なるほど… K  :でも、施設に入ってみたら、病院とは全然違うんです。病院ってどれだけ自分たちのペースで患者さんを動かしてたんだろう、と痛感しました。みんな大人しく患者さんを演じてただけなんじゃないかって…施設だと、利用者主体を考えられる、というのがすごく楽しいです。看護師であれば一度経験してみてほしい、と思いますね。

編集部:そうなんですね! 貴重なお話をたくさんしていただき、ありがとうございました。最後に一言、よろしくお願いいたします! K  :医療、介護と、いろんな分野で学んできた経験を、こことらいふ武蔵野で、仲間に恵まれて、形にできているので、とても楽しく幸せに思っています。ぜひ仲間がどんどん増えていってくれたら嬉しいです。