■新卒から福祉業界にチャレンジ

編集部:本日は宜しくお願い致します。

樋口 :宜しくお願い致します。

編集部:すでに樋口さんには何度もお話を伺いましたが・・改めて今日は介護業界に入られたきっかけから伺えればと思います。

樋口 :専門学校を経て、20才で入職しました。最初に入った法人がいまの武蔵野療園でしたが、当時は3年程度で辞める予定でした(笑)。

編集部:そうなんですね!

樋口 :はい。実際に武蔵野療園が運営する中野友愛ホームで介護職としてキャリアをスタートした後、辞めて、サークル時代からの延長であった障がい者の野外教育系の自主事業にチャレンジしています。

編集部:なるほど。

樋口 :サークル時代の取組がきっかけで、この領域に関心を持ちました。当時はバブル期の終わりではありながら、新しい取組みを自分でやる、といった動きもあり、自分自身もそうしてみたいと思っていました。

編集部:そうだったのですね。

樋口 :自主事業をやっている間も、退職したにもかかわらず、備品を借りたり、院長に活動へ同行をしていただくなど、当時の理事長や病院長などから応援していただいておりました。その活動が一定の区切りを迎えたとき、現理事長がかみさぎホームの施設長で赴任されており、またこの法人に呼んでいただいたというご縁があります。

編集部:樋口さんが新卒で入職した当時、男性介護職も珍しかったと思います。そして、ご自身で事業にチャレンジするということで、そういた精神性を持たれていたのですね。

樋口 :そうですね・・いいと思ったことはやってみたいということなのかもしれません。

■利用者に目を向けて仕事ができる環境を整える

編集部:なるほど、ありがとうございました。そこから今の施設長としての立場に至るわけですが、改めて、どんな施設にしていきたいか、伺えますか?

樋口 :はい。かみさぎホームで働く職員が「ここで働いていてよかった」と、心から思える職場にしたい、というのがベースにあります。そして、利用者にとっては「かみさぎホームと出会ってよかった」、「最期を迎えられるケアをしよう」と最近も改めて職員に伝えました。

編集部:そうだったのですね。

樋口 :私の仕事は、環境を整えることです。財政面・人材面などから、働きやすい環境にしていきたいと思っています。現場にいた時は財政面は考えることはありませんでしたが、やはり施設長としてそこはしっかりと職員に還元したいと思っています。

編集部:すばらしいですね。これまでお付き合いしていく中で、樋口さんは特に職員の環境整備に想いがあると感じることが多いです。その源泉は、どのあたりにあるとお考えでしょうか?

樋口 :この仕事は、人こそがすべてだと思ってやっている、ということでしょうか。人と人の関わりの仕事です。職員は利用者に目を向けていかなければいけませんが、その中で、同僚の目を気にしなければいけないのだとすれば、それは正しい姿ではありません

編集部:確かにそうですね。

樋口:職員が安心して働くことができてこそ、利用者のためのより良い介護ができると思います。働きがいのある場所で働いてもらいたいですし、そのためには財政面も整えつつ、やはり人が基盤です。

編集部:ありがとうございます。素晴らしいです。現状の課題はどういった点になりますか?

樋口:この春は組織も比較的大きな変化がありました。まだ落ち着かない面はありますが、現状少しずつ良い方向になってきていますし、いま現場で引き続き頑張ろうとしている職員が、安心して働ける様にしていきたいです。

編集部:あとは現場の安定化を進めるために、採用をしっかり進める、ということですね。

樋口 :そうなりますね。あとは、これまでは中間層が自然に育つのを待つ様な面がありましたが、今後はそこを意識的に育てていきたいと思っています。

編集部:なるほど。

樋口:どうしても中間層に負荷がいく構造がありました。そこを厚くしたいです。そして今の点にも関わりますが、ちょうど人事考課も見直しています。キャリアパスの運用も、うまく将来像とリンクさせられる様な支援をしていきたいと考えています。

■資格の有無ではなく、利用者に向き合って仕事ができることが大事

編集部:そういった背景の中で、いまはどういった人材に来てほしい、というのはありますでしょうか?

樋口 :人柄を重視したいと思っています。過去には即戦力・・と考えた時期もありましたが、そこは焦らず、かみさぎホームに合った方、特に人柄を見て、採用させていただき、介護についてはしっかりと教えていこうというのが今の考え方です。

編集部:なるほど。

樋口:資格の有無ではなく、利用者に向き合って仕事ができることが、大事だと思っています。

編集部:よくわかりました。是非樋口さんのお人柄含めて、かみさぎホームの雰囲気を今後伝えていきたいと思います。

樋口 :宜しくお願い致します。私たちの施設は歴史ある施設ですが、変化のタイミングが来ていると感じています。それを一緒に楽しめる方に是非来ていただきたいです。そして、やはり利用者の方と向き合って頂くことを大事にしています。今日はありがとうございました。

編集部:ありがとうございました!